メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

未来の医療革命?体内活動を見守るバイオエレクトロニックハイドロゲルの開発 : 濡れた砂のように成形、神経を読む

未来の医療革命?体内活動を見守るバイオエレクトロニックハイドロゲルの開発 : 濡れた砂のように成形、神経を読む

2025年10月26日 00:04

ワシントン大学セントルイス校(WashU)の研究チームが、体内の生体活動をモニタリングしたり刺激したりできる「導電性の粒状(グラニュラー)ハイドロゲル」を開発した。素材は有機導電性ポリマーの定番 PEDOT:PSS。粒子同士が集まると“濡れた砂”のように形を保ち、力をかけるとにゅるっと流れて注射や3Dプリントが可能になる。成果は2025年10月8日付でジャーナル Small に掲載。学内ニュースと科学メディアの報道が同日・翌週に相次ぎ、医療とソフトエレクトロニクスの次の一手として注目を集めている。ワシントン大学エンジニアリング学部



何が新しい?——「粒状」×「導電性」の相乗効果

従来の生体信号電極は金属やシリコンなど硬い材料が主流で、組織とのミスマッチ(硬さ・形状・動き)が長期安定性のネックだった。今回の素材は10〜100µmのPEDOT:PSSハイドロゲル微粒子で、密に詰めると細胞スケールの多孔性を備えたスポンジ状ネットワークになる。力を加えるとせん断で流動し、力を抜けば自己修復的に再結合して貼り付く――この**「グラニュラー(粒状)ハイドロゲル」特有のダイナミクスと導電性**を両立させた点がブレークスルーだ。ワシントン大学エンジニアリング学部

研究チームは、水中—油中のエマルジョンで微粒子を合成し、油を90℃に加熱すると良好な粒子が得られると報告している。ワシントン大学エンジニアリング学部



実証:バッタの触角で嗅覚信号を読む

神経生理の古典的モデルであるバッタの触角(嗅覚受容ニューロン)に、粒子を小さな塊として軽く載せ、匂い刺激に対応する局所電場電位(LFP)を記録することに成功。柔らかい粒子電極が曲面の生体表面にぴたりと密着し、電気的カップリングを作れることを示した。将来的にはカスタム形状の3Dプリント電極や組織を包み込む“包埋型”電極として、これまで難しかった部位にもアプローチできると期待される。ワシントン大学エンジニアリング学部



どう役に立つ?——3つの応用シナリオ

  1. インプラント/ウェアラブルの刷新
     心筋や脳、末梢神経など柔らかく動く組織に合わせて、注射でその場成形または3Dプリント。従来の“硬い電極”に比べ、界面インピーダンスや長期炎症の低減が見込める。ワシントン大学エンジニアリング学部

  2. “包み込む”電極による高密度記録
     多孔性ネットワークがイオン透過と細胞浸潤を許し、体積的に広い接触面で信号を拾える可能性。バッタ実験はその概念実証だ。ワシントン大学エンジニアリング学部

  3. 再生医療×エレクトロセラピー
     組織工学の足場(スキャフォールド)として細胞を抱え込みつつ、電気刺激で分化や配向を制御する、といった“刺激可能な足場”の道が開く。Rutz研究室は2025年初頭にやわらかい生体模倣スキャフォールドの3Dプリント研究も公表しており、今回の素材はその拡張線上にある。ワシントン大学エンジニアリング学部


技術の肝:材料・微細構造・プロセス

  • 材料:PEDOT:PSSは透明・安定で生体親和性が高い導電性ポリマー。添加剤や処方で導電率を大きく伸ばせることが知られる。ウィキペディア

  • 微細構造:粒子間の“隙間”がミクロン孔を作り、イオン移動の経路と細胞スケールの空間を同時に提供。密着と信号の取り回しに効く。ワシントン大学エンジニアリング学部

  • プロセス:エマルジョン法→濾過で充填→押出(3Dプリント)という汎用プロセス。既存プリンタやマイクロロボットへの実装も視野に入る。ワシントン大学エンジニアリング学部

(参考)同分野ではPEDOT系ハイドロゲルの高解像度3Dプリントや伸縮配線といったアプローチも進む。背景技術として押さえておきたい。アメリカ化学会出版物



課題とリスク:ここを見極めたい

  • 長期安定性:水分子やイオン環境で導電性維持と機械特性の変化をどう抑えるか。PEDOT:PSSはpH・塩濃度で導電性が変動する報告もある。Science

  • 電極—組織インターフェース:電荷注入限界や発熱・電解反応など、安全域の定量化。

  • 滅菌・薬機対応:注射製剤/埋込材料としての製造一貫性(粒径・分散・残留物)、滅菌後の特性保持、生分解/非分解の選択など。

  • 回収性と可逆性:粒子系なら再分散・除去の設計も可能だが、体内動態と免疫応答の評価が要。



IPと事業化の動き

研究チームは米国特許出願を行い、大学の技術移転部門(OTM)と商業化を進めている。医療機器ルートだけでなく、まずは研究用プローブ/培養系の足場電極としての市場投入が現実的だ。ワシントン大学エンジニアリング学部



SNSの反応(ダイジェスト)

  • 研究者本人の発信:筆頭著者らの所属ラボやAlexandra Rutz氏のLinkedIn投稿で論文公開を告知。研究者・学生から祝福コメントが寄せられ、柔軟電極/3Dプリント応用への期待が多く見られた。LinkedIn

  • 大学公式の拡散:McKelvey工学部のLinkedInでもニュースを共有。産学関係者からのエンゲージメントが確認できる。LinkedIn

※X(旧Twitter)などでも関連研究者アカウントがPEDOT:PSSハイドロゲルの話題を継続的に発信しており、導電性ハイドロゲル×バイオエレクトロニクスがホットトピック化している。X (formerly Twitter)



なぜ今これが“効く”のか——編集部の視点

  • 材料科学×組織工学のハイブリッド:「生体に似せる」(柔らかく、ぬれて、動く)と**「機能を足す」**(導電・刺激・検出)の両立が、粒状ハイドロゲルという形式で美しくまとまった。

  • プロセス親和性:エマルジョン合成→押出成形→in situ形成という製造スケールの拡張性が高い。

  • ユースケース駆動:触角LFPという曲面・微小信号・湿潤環境の難題に真正面から挑み、**“貼るより包む”**という新しい電極像を提示した。



今後のチェックポイント(ロードマップ)

  1. in vivo慢性試験:数週間〜数か月スケールでの安定記録と組織反応。

  2. ハイブリッド化:イオンゲル/MXene/導電性ナノフィラーとの複合で導電率・機械強度・耐久を微調整。

  3. 機能統合:薬剤放出や光・熱応答と組み合わせたセラノスティクス(診断×治療)。

  4. 規格化:粒径分布、固形分、押出条件、滅菌後特性などQC指標の策定。


参考記事

エンジニアが体内の活動を監視するための生体電子ハイドロゲルを開発
出典: https://phys.org/news/2025-10-bioelectronic-hydrogels-body.html

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.