メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

“ドーナツ光”の時代が来る:高密度通信の扉を開く「光渦」革命

“ドーナツ光”の時代が来る:高密度通信の扉を開く「光渦」革命

2025年08月21日 00:08

ねじれた光が増やす“データの車線”

水面の渦が進行しながら自転するように、光も進行方向に回転(オービタル角運動量:OAM)を持たせると「光渦」になる。OAMの異なるモードを別々の“車線”として多重化できるため、同じ帯域で運べる情報量を実質的に拡張できる――そんな夢を、研究室サイズではなく“薄片サイズ”で現実に近づけたのが今回の成果だ。Phys.org


何が新しいのか:厚さ“数µm→サブ波長”で渦生成

従来の光渦発生器は、らせん位相板、q-plate、空間光変調器、メタサーフェスなど、精密加工や嵩張る素子が要った。今回の手法は、vdW材料が本来もつ巨大な複屈折を利用し、円偏光の“スピン”を反転させながら“軌道角運動量”へと結びつける(スピン–軌道結合)だけ。ナノ加工は不要だ。h-BN 8µmで渦電荷±2を実証し、MoS₂ 320nmでも生成に成功。さらにMoS₂ 26µmでは変換効率0.46に達し、理論上限0.5へ迫った。Nature


技術的には、入射する円偏光(LCP/RCP)が結晶の異常軸に沿って進むとき、媒質内の複屈折で進行成分が異なり、出射側で反対回転の円偏光+OAM付きビームに変換される。いわば“鏡の館”に入った光が位相をねじられ、ドーナツ状の暗点をもつ渦ビームに生まれ変わる。Phys.org


どれだけ“小さく、効率的”なのか

論文は2025年8月18日にLight: Science & Applicationsで公開。h-BN 8µmで0.30、MoS₂ 26µmで0.46、MoS₂ 320nmで0.09という効率を定量。さらに数値計算では入射ビーム形状をベッセルビーム化すれば、薄型化と高効率化を両立でき、理論的にはほぼユニティに近づける可能性が示唆された。Nature


この“薄さ”の意味は大きい。従来、同様の原理を用いるリチウムニオベート(LN)やβ-ホウ酸バリウム(BBO)は複屈折が小さく、ミリメートル級の厚みが必要だった。vdW材料なら数µm〜サブ波長。小型・軽量・低コスト化が一気に現実味を帯びる。Nature


社会実装の地平:通信・量子・センサー

光渦は、モード(渦電荷)ごとに独立したデータ路を担えるため、自由空間・衛星・ファイバ通信のOAM多重化で容量拡張に寄与する。研究チームは“既存通信技術との親和性を高めること”と“効率向上”を今後の焦点に挙げる。学内メディアPursuitも「高速・超安全通信への道」と強調しており、衛星プラットフォームやチップ内配線への統合も視野に入っている。Phys.org


一方、量子フォトニクスでもOAMは重要だ。多次元量子状態(高次元QKD、量子ルーティング)や、渦モードを用いた耐雑音符号化などで、素子の微細加工を減らしながら機能を出せる可能性がある。近年の“ねじれ光”の多様な展開(例:渦の空間分布を巧みに設計する新手法)とも整合的だ。


SNSの反応:素早い拡散と期待の声

公開から間もなく、Science X/Phys.orgの公式がThreadsで記事を投稿。コメント欄では「小型・安価な光渦源の登場は、衛星・基地局向けの新規実装を加速しうる」といった期待が目立った(※本文は編集部要約)。また、中国語圏のSNSまとめ「Buzzing」でも同記事がトレンド枠に掲載され、理工系コミュニティでの関心度の高さがうかがえる。さらに、Lifeboat Foundationのブログも論文の要点(±2の渦電荷生成)をすぐに拾い、話題を後押しした。Lifeboat Foundation


“ナノファブ不要”の真価と限界

長所

  • ナノ加工不要:材料固有の複屈折を使うため、製造負担と誤差起因のS/N低下を抑えやすい。Nature

  • 超薄・軽量:8µm〜サブ波長で機能。衛星・ドローン・可搬機器に有利。Nature

  • 高効率の兆し:26µm MoS₂で0.46、理論上限0.5に接近。Nature

課題

  • 結合とアライメント:自由空間⇄導波路の損失、OAMモード間クロストーク抑制。

  • 波長帯と材料均一性:h-BN/各種TMDの光学定数・欠陥・ドメインムラが歩留まりに影響。

  • 熱・パワー耐性:高出力動作時の熱光学劣化、損傷閾値の把握。

  • 標準化:OAM多重の規格、誤り訂正やMIMO処理との統合設計。


研究の位置づけ:陸・海・空の“三現場”で使える光学へ

光渦の生成方法はこの10年でメタサーフェスなど多彩になったが、**「薄く・安く・量産しやすい」**の三拍子が揃う解は多くない。vdW材料ベースの発生器は、実験室の“映えるデバイス”を超え、実装現場に降ろせるかを問う有望株だ。論文は、OAMの基本から既存手法の限界、そしてvdW材料の巨大複屈折がなぜ効くのかまで、端的に整理している。Nature


これからの注目ポイント(実務目線チェックリスト)

  1. ファイバ/波導統合:OAMモードを崩さずチップ内へ結合できるか。

  2. 広帯域化:h-BNの広い透過帯×TMDの異方性を活かした多波長動作。Nature

  3. 量産プロセス:CVD/機械剥離からのスケールアップと厚み制御。

  4. システム評価:実チャネル容量、BER/OSNR、屋外FSOでの耐乱流性。

  5. 安全・規格:衛星/地上局でのアイセーフ設計・周辺規格への対応。



出典(主要情報)

  • 一般向け解説(2025年8月19日):Phys.org「Ultra-thin materials twist light into optical vortices…」Phys.org

  • 原著論文(2025年8月18日):Light: Science & Applications「Spin-orbit coupling in van der Waals materials for optical vortex generation」Nature

  • 大学公式解説:メルボルン大学Pursuit「We’re twisting light to move more data」

  • 補助情報(抄録DB):PubMed掲載ページ


SNS・ウェブの反応(参考)

  • Threads(Science X/Phys.orgによる投稿)

  • 中国語圏SNSアグリゲーター「Buzzing」でのトレンド掲載

  • Lifeboat Foundationブログでの紹介ポスト Lifeboat Foundation


参考記事

超薄材料が光をねじり、光渦を形成してより高速なデータ伝送を実現
出典: https://phys.org/news/2025-08-ultra-thin-materials-optical-vortices.html

Powered by Froala Editor

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.