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トウモロコシを“脱炭素作物”にする方法 — 温帯・亜熱帯・熱帯でこう違う:低排出トウモロコシの設計図

トウモロコシを“脱炭素作物”にする方法 — 温帯・亜熱帯・熱帯でこう違う:低排出トウモロコシの設計図

2025年09月10日 00:02

世界で最も重要な穀物の一つであるトウモロコシ(maize)。その生産は、肥料製造から畑の排出まで多層的に温室効果ガス(GHG)を生む。一方で、食料安全保障の要として収量を落とすわけにもいかない――この二律背反に対し、中国科学院 大気物理研究所(IAP, CAS)を中心とする国際チームが「どこで、どう作れば、排出を最小化しつつ収量を維持できるか」を、気候帯別に具体化した。研究はAdvances in Atmospheric Sciencesに査読付きで掲載され、Phys.orgが9月8日にニュース化している。SpringerLinkPhys.org


3つの気候帯×実証データ×LCAで“畑の炭素家計簿”を丸ごと可視化

研究チームは、CNMM–DNDCという水文・生物地球化学モデルを用い、肥料生産などの川上(cradle)から収穫(gate)までを含むカーボンフットプリントを推定。中国・永済(温帯)、中国・塩亭(亜熱帯)、ケニア・マデヤ(熱帯)の長期トライアルで土壌・作物成長・GHG排出を実測で検証し、モデルの精度を担保したうえで各気候帯の最適策を比較した。SpringerLink


結論はシンプルだが力強い。亜熱帯の塩亭が最もフットプリントが小さく、温帯の永済は中位、熱帯のマデヤが最も高い。要因は場所ごとに異なり、亜熱帯では土壌炭素の蓄積と肥料製造由来の排出が比較的低いことが寄与。熱帯では土壌炭素の流出・低収量が1kg当たりの排出を押し上げていた。Phys.org


「収量を落とさずに排出を下げる」現実策

研究が提案する**“Win–Win”**の実装策は二つが柱だ。

  • 化学肥料と有機肥料の併用:エネルギー多消費な合成窒素肥料への依存を減らし、オフサイト排出を抑える。Phys.org

  • 残渣(茎葉)の圃場還元:土壌健全性を高め、圃場を炭素シンク化。特に熱帯土壌で効果が大きい。Phys.org


補助線として、近年の実地・長期試験でも被覆作物・無耕起・窒素最適化がフットプリント低減に効くことが相次いで示されており、本研究の処方箋と整合的だ。MDPIPMC


なぜ「場所ごとに違う」のか――土壌×気候×サプライチェーン

同じ“トウモロコシ”でも、気候・土壌とサプライチェーン構造が違えばフットプリントの支配因子は入れ替わる。例えば温帯では肥料サプライの排出が重く、亜熱帯では土壌炭素の貯留が勝る。熱帯では収量ギャップと土壌炭素損失がボトルネック。つまり政策も経営も**「平均解」ではなく「場所別の最適解」**をとるべきだ――これが本研究の一番の示唆だ。Phys.org


政策・市場の追い風:肥料の脱炭素と低CIインセンティブ

脱炭素の焦点は窒素肥料由来のN₂Oと製造時の排出。米国では2024年に**低排出肥料技術への投資(3,600万ドル)**が表明され、エタノールのCI(Carbon Intensity)を下げる狙いも明示された。畜産・燃料市場と結び付くトウモロコシ生産にとって、“低CIであること”が収益条件になる流れは強まりそうだ。Reuters


現場の実装ガイド(気候帯別)

熱帯(例:ケニア・マデヤ)

  • 収量向上と残渣還元をセットに。有機+化学肥料の併用で土壌炭素の目減りを止める。

  • 被覆作物・有機物マネジメントで**SOC(土壌有機炭素)**を底上げ。Phys.orgMDPI

温帯(例:中国・永済)

  • 既存の土壌炭素貯留を維持しつつ、肥料由来のオフサイト排出対策(低CI肥料、施肥最適化、阻害剤活用)に注力。Phys.orgBG

亜熱帯(例:中国・塩亭)

  • 優位性(低フットプリント)をスケール化。ストロー還元+最適施肥のセットを標準化。Phys.org


SNSの初期反応:静かな拡散と“実装論”への関心

公開から1日以内という鮮度のため、X/Redditでの大規模スレッドはまだ形成途上。ただし、Buzzingやsumi.news、SciURLsといったニュースアグリゲータ上では本件がピックアップされ、「気候帯別のロードマップ化」に注目が集まっている。気候科学系のSkeptical Scienceでも当該論文が「今週の新着研究」に掲載された。要は、“モデル研究”から“実装の設計図”へという受け止めだ。phys.buzzing.ccsumi.newssciurls.comSkeptical Science


一方で、農業の脱炭素議論では肥料の排出・エタノールのCIなどサプライチェーン側の施策にも視線が向く。関連ニュースとして、低排出肥料への政府投資や、州レベルの農業由来排出の位置付けも話題化している。ReutersAP News


※SNS上の“盛り上がり”は広報・報道の波及から始まることが多く、今回は**EurekAlert!やIAP(中国科学院 大気物理研究所)**の配信を起点に拡がっている。EurekAlert!english.iap.cas.cn


研究の限界と次の一手

  • モデルベース:CNMM–DNDCの検証は多面的だが、まだ3サイト・3気候帯。他地域(米コーンベルト、ブラジル中南部等)での検証拡張が必要。SpringerLink

  • 市場連動:残渣還元や有機併用の採算性は地域の流通・価格に依存。低CIプレミアムやインセンティブ設計が鍵。Reuters

  • 気候リスク:熱・干ばつで収量変動が拡大する中、収量安定化×排出低減を同時に満たす技術パッケージが重要。Phys.org


参考記事

研究、世界中で低排出のトウモロコシ農業への道筋を示す
出典: https://phys.org/news/2025-09-path-emission-corn-farming-globe.html

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