メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

『安い本物』という幻想 - 中国発の高級ブランド偽造品:TikTokで拡散する危険なトレンドとその影響

『安い本物』という幻想 - 中国発の高級ブランド偽造品:TikTokで拡散する危険なトレンドとその影響

2025年09月05日 00:36

“中国製のエルメス?”拡散したTikTok動画の真相──贋作市場の今と、消費者・ブランドが取るべき次の一手

米中関係が再びきしむ最中の2025年4月、TikTok上で「ラグジュアリーブランドは実は中国生産。工場から直買いできる」という動画が一斉に拡散した。投稿主は“正規メーカーの担当者”を名乗り、シャネルやルイ・ヴィトン、エルメスのバッグが格安で手に入ると誘導。視聴者は中国系ECアプリへ流れ、米国のアプリストアではDHgateや淘宝(Taobao)がショッピング部門の上位に食い込んだと報じられた。だが、この“暴露”の多くは、事実と虚像が意図的に混ぜられた物語だった。 Phys.orgグローバルタイムズ


仕掛けのタイミング:145%関税と「工場直販」ナラティブ

動画の波が起きたのは、米国が中国からの輸入品に対する関税を実効145%に引き上げた直後。価格高騰や小口直送への監視強化といったニュースへの関心が高まる中、「中間マージンを省けば安く買える」というメッセージは瞬く間に支持を集めた。だが、関税の現実は重い。米政府の方針転換以降、直送品でも負担は避けづらく、消費者保護の面でも返品・品質保証が乏しい“直買い”はリスクが高い。 China Briefingウィール・ストリート・ジャーナルThe Washington Post


「本物は中国製?」に答える

結論から言えば、少なくともエルメスやルイ・ヴィトンの主力レザーグッズが中国で作られているという根拠は確認されない。エルメスは鞄生産をフランス国内の工房に限定し(全75拠点のうち60が仏国内)、ルイ・ヴィトンもフランスを中心に欧州・米国の工房で生産している。TikTokで示された製品は、構造・ロゴ・素材感などに明確な齟齬があり、専門家は「偽物」と断じている。 Phys.orgBusiness Insider


贋作経済のスケール

OECDの最新推計では、2021年の偽造品貿易規模は約4,670億ドル(世界輸入の2.3%)。特に衣料・履物・皮革製品が押収品の大宗を占める。ラグジュアリーの“投資的買い”が広がるほど、偽造市場の旨味も増す構図だ。 OECD


法の代償:買い手も「被害者」で終わらない

フランスでは偽造品の所持・持込み自体が厳罰対象で、対象品の正価の1~2倍の罰金と最長3年の禁錮が科され得る(組織的犯行はさらに加重)。旅行者でも没収・取引での終結(トランザクション)に応じるケースが一般的だ。つまり“知らなかった”は通らない。 douane.gouv.fr


SNSはどう反応したか:二極化するタイムライン

  • 懐疑派:Redditのハンドバッグ系コミュニティでは、「動画で比較された“中華エルメス”は寸法やロゴが違う」「顧客の守秘義務がある下請けがSNSで暴露するはずがない」といった指摘が相次いだ。 Reddit

  • “レプ”(レプリカ)容認派:価格高騰への反発から、意匠は似せるがブランド表記を避ける“デュープ”や、露骨な偽装ロゴ入りの“レプ”をめぐり議論が白熱。「どこで買えば品質が良いか」という実務的スレッドまで立つ始末だ。 Reddit

  • プロの見立て:認定鑑定士は、柄の取り方やハンドルの形状、革の銀面など細部の不一致を根拠に偽物と断定。「“安い本物”の売り文句はまず疑え」と警鐘を鳴らす。 Business Insider


なぜここまで広がったのか

  1. 価格ショック:度重なる値上げと為替、そして関税の話題。消費者は「定価」に疲れている。

  2. プラットフォーム設計:短尺動画とライブコマースは、即時性と“掘り出し物”感を最大化する。

  3. “暴露”の魅力:エリートの秘匿情報を暴く物語は、拡散に最適化されている。

  4. 越境ECの習熟:アプリ上位入りのニュースが“みんな買ってる”という社会的証明になった。 グローバルタイムズ


消費者が今すぐできる自衛策(現実的チェックリスト)

  • 出どころの透明性:正規取扱店・公式EC・信頼できる委託販売以外は“要疑い”。販売者情報、返品可否、領収・保証の有無を確認。

  • 価格の妥当性:「定価の桁違い」はレッドフラッグ。

  • モノの痕跡:刻印の位置・書体、金具の質、コバの処理、ステッチピッチ、革の銀面。違和感が一つでもあれば撤退。

  • 第三者の目:中古で買うなら鑑定サービスやエスクローを活用。

  • “直買い”のコスト:関税・輸入消費税・通関手数料の総額、返品時の逆物流コストも想定。 The Washington Post


ブランド側の宿題:沈黙の先へ

動画を黙殺するだけでは、語られない空白を“暴露系”が埋める。各社が取り得る打ち手は3つ。

  • 供給網の可視化:年次報告やURDの要点を、一般消費者に届く言葉と図解で再編集。工房・職人教育・地域雇用を語る。 Phys.org

  • トレーサビリティの標準化:シリアルと素材・工房情報の突合、真贋照合のAPI化。

  • “価格の物語”の再設計:原材料・手間・希少性・アフターケアを含む“総体価値”をオープンに語る。


そして、贋作市場は止まらない

摘発は増えている。フランスでは2024年に2,147万点、推定6.45億ユーロ相当の偽造品を押収。偽造はしばしば組織犯罪の資金源とも指摘される。アプリの上位化や短尺動画の勢いを考えれば、“次の波”は必ず来る。消費者のリテラシー向上と、ブランドの説明責任の両輪が、被害を食い止める唯一の現実解だ。 ユニファブ


参考記事

中国からの偽造シャネル、ルイ・ヴィトン、エルメスのバッグ:オンライン現象と消費者にとってのリスク
出典: https://phys.org/news/2025-09-counterfeit-chanel-louis-vuitton-herms.html

Powered by Froala Editor

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.