日本の温水洗浄便座、外で使うのは不安？—20代の55％が“ためらう”理由と本当の感染リスク

1. “ウォシュレット天国”日本でも広がる利用格差

1-1 普及率は高いのに外出先では利用率が低下

‐ 内閣府消費動向調査では家庭普及率が2016年以降80％超。
‐ TBS系調査によると「自宅以外で使用する」回答は全体46.8％、20代ではわずか23.8％。 newsdig.tbs.co.jpplanet-van.co.jp

1-2 20代が“ためらう”主な理由

1. 不特定多数が使う不衛生感（63.7％）

2. ノズルや座面の細菌汚染イメージ（58.2％）

3. そもそも操作方法がわからない／怖い（21.5％）
   —TBS系Webアンケートより抜粋 newsdig.tbs.co.jp
   
   
   
   

2. 科学的に見る感染リスク

2-1 ノズル汚染の実測データ

ポイント：健康成人が感染するには1万〜100万個の菌が必要とされ、検出菌量は桁違いに少ない。

2-2 医療機関での事例

‐ 127台調査で多剤耐性菌検出例が報告され、免疫低下患者には注意が必要。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

2-3 ビデ使用による衛生メリット

‐ ビデ不使用時の手指付着菌：平均39,499 cfu → 使用時4,147 cfu（約1/10）。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

3. 若年層の“心理的バリア”を読み解く

• COVID-19以降の衛生意識強化

• SNS拡散による「怖い話」効果

• “自分の家専用”というプライベート志向
  
  これらは欧米の公共トイレ文化と対照的で、日本独自の「清潔さ神話」が裏目に出ているともいえます。
  
  
  
  

4. メーカーと施設の最新対策

• 自動ノズル洗浄＋銀イオン除菌

• UV-LED照射による24時間殺菌

• 便座自動開閉 ≠ 手で触らない設計

• 清掃ロジを可視化するIoTセンサー
  
  
  
  

5. 利用者ができる３つのセルフガード

1. 「洗浄」ボタンを1秒押して予備洗浄（流水でノズル表面を流す）

2. アルコールシートで座面を軽く拭く（備え付けがない場合は携帯）

3. 洗浄後に30秒の手洗いと乾燥
   
   
   
   

6. 外国人旅行者へのアドバイス

• 英語表記付きパネルが増加中

• 大型駅・空港のトイレは1日複数回の巡回清掃

• ホテル客室内の便座は搭乗前に必ずチェック
  
  
  
  

7. 今後の展望

温水洗浄便座は水使用量の削減、紙削減による環境優位性でも注目されています。20代の利用率向上には、

• 体験イベントやSNS発信での“見える化”

• 大学・職場トイレでの衛生情報掲示

• 「パーソナルノズルカバー」等の新商品開発
  
  が鍵となるでしょう。感染リスクは極めて低いという科学的根拠を周知しつつ、心理的ハードルを下げる取り組みが求められます。
  
  

参考記事一覧

1. チューリップテレビ「『不衛生だと思う』『なんとなく気持ち悪い…』自宅以外のトイレ、シャワー機能ためらう20代は55％以上…感染リスクはあるの？」 (2025-06-26) newsdig.tbs.co.jp

2. 株式会社プラネット「温水洗浄便座の利用実態調査」 (2024) planet-van.co.jp

3. Sanitary-net「温水洗浄便座のノズル内細菌調査」 (2023) sanitary-net.com

4. K. Matsushita et al. “Warm-water nozzles of bidet toilets: contamination and infection control.” J Hosp Infect 2017. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

5. H. Sasaki et al. “Microbial contamination of hands with or without bidet use.” Int J Environ Health Res 2022. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov