ナメクジの謎を解明!ナメクジの行動科学が畑を救う

ナメクジの謎を解明!ナメクジの行動科学が畑を救う

ナメクジ対策は「表面に出てきた奴を退治する」から「どこに群れるかを予測して絞って狙う」へ。最新の研究は、ナメクジの多くが土中を上下移動して気候や土壌条件に応じて潜伏し、畑の中に“高密度パッチ”をつくって集団行動することを示している。これを踏まえ、パッチを特定して集中的に処理すれば、薬剤使用量を大きく減らしながら被害を抑えられる可能性が高い。背景には、英国でのメタルデヒド系薬剤の全面禁止や、コストの高い生物防除の課題がある。Phys.org



なぜナメクジ対策は「難しい」のか

  • 土の上下運動:多くの薬剤は地表付近の個体にしか効かないが、ナメクジは天候や土質に応じて土中の深さを変えて潜伏する。寒波や乾燥期には深く潜り、好条件になると一斉に地表へ戻ってくるため、“いなくなった”ように見えるのは錯覚だ。Phys.org

  • 規制と選択肢:環境影響が大きいメタルデヒドは英国で2022年に屋外使用が全面禁止に。代替として**リン酸鉄(フェリックフォスフェート)線虫(生物農薬)**が使われるが、広域の農地ではコスト面が悩みの種だ。GOV.UK

  • 経済損失:効果的な防除が行われない場合、英国だけで年間最大1億ポンド規模の損失になるとの推定も。AHDB


「パッチ」を狙い撃つ——研究最前線

近年のフィールド研究とモデリングで、ナメクジは畑の中で斑状(パッチ状)に分布すること、その高密度パッチが作期を通じて安定しがちであることが示された。これにより、薬剤や線虫をパッチにだけ投下する「精密防除(precision control)」が現実味を帯びる。ある研究では、パッチ狙いで薬剤使用を約50%削減できる可能性が示されている。Phys.org


さらに、ラジオタグで個体の移動を追跡した研究から、群れの中では休止が増え、ジグザグの“曲がり方”に微妙な偏りが出るなど、集団行動の兆候も見えてきた。こうした微細な行動差をモデルに組み込むことで、次にパッチが「濃くなる場所・タイミング」の予測精度が上がる。Phys.org

要は「どこにたまるか」を地図化できれば、使う資材も労力も半分で済む——それが最新科学が示す希望だ。



現場実装のロードマップ

  1. モニタリングの密度を上げる
    トラップやカメラ、簡易の土壌センサーで**“出てきた数”だけでなく“出にくい条件”も記録。雨の後・夜間・多湿部を重点観測してパッチの核**を見つける。Phys.org

  2. パッチ地図 × 集中施用
    パッチが季節を通じて安定しやすい性質を活かし、その場所にだけフェリックフォスフェートや線虫を帯状・スポット散布ムラ撒きは逆効果になりやすい。Phys.org

  3. 規制順守と代替手段
    メタルデヒドの保管・使用は違法(英国)。フェリックフォスフェートや忌避性のエッセンシャルオイル系物理的バリア・ベアトラップ等を組み合わせる。GOV.UK Hedgehog

  4. データの“場内共有”
    圃場ごとに**“出没ヒートマップ”を作り、次作以降の施肥・被覆・草管理と連動させる。研究者のモデルは現場の時系列データ**で磨かれる。Phys.org


SNSの反応まとめ(2025年9月時点)

  • **園芸コミュニティ(Reddit/UK)**では、ベアトラップ(ビール罠)天敵(カエル・ハリネズミ)の導入、フェリックフォスフェートへの切り替えが定番化。「線虫は効くが高い」「広い面積だと続かない」と費用対効果の悩みも多い。Reddit

  • X(旧Twitter)の農業アカウントでは、自律モニタリングや予測に基づく“ピンポイント施用”への関心が高い。英国農家ネットワークやスタートアップ系の投稿でも精密防除の文脈が伸びている。X (formerly Twitter)

  • 規制面の情報共有として、メタルデヒド禁止フェリックフォスフェートの可用性を解説するスレッドが定期的に浮上。初心者向けの**「粒の成分ラベルを見よ」**という実務アドバイスも散見される。Reddit

端的に言えば、「面で撒く」から「点で狙う」へ。SNSでも、コスパ環境配慮を両立する手法に注目が集まっている。



ガーデナー&農家のための実践チェックリスト

  • 雨の24–48時間後に重点点検:潜伏からの一斉出現を捉えやすい。Phys.org

  • “湿り・陰・粗い地表”が重なる地点をマークし、スポット処理を習慣化。Phys.org

  • フェリックフォスフェート薄く広くではなく“点在”を避け均一散布、施用は最大回数・間隔のルールを守る。Plantura

  • 線虫規模と気温・土壌水分に応じて検討。小さな庭では有効でも、広域では費用対効果を試算。Phys.org

  • メタルデヒドは使わない・保管しない(英国):規制や自治体ガイドを再確認。GOV.UK


研究の次の一手

パッチがなぜ生じ、なぜ安定するのかは未解明の部分が多い。均一な資源分布でも“群れる”動物は珍しくないが、微地形・微気候・行動特性が重なった「臨界条件」を特定できれば、予測の精度はさらに高まる。市民科学(トラップ記録の共有)現場のIoTが鍵を握るだろう。Phys.org



データで見る要点

  • 年間損失: 最大**£100M**(英国、条件付き推定)。AHDB

  • 施用削減: パッチ集中で**約50%**の薬剤削減が可能との報告。Phys.org

  • 規制: メタルデヒド2022年春から屋外禁止(英国)。GOV.UK


参考記事

なぜナメクジの制御が難しいのか、そして科学者たちがそれを抑制するためにどのように取り組んでいるのか
出典: https://phys.org/news/2025-09-slugs-hard-scientists.html